私はお前を産んだ記憶はない

「うわぁ〜カワイイ」
私がイ○ンのペットショップでフワフワの子犬を見ていた時のこと。
「お父さん、気になる子がいたら抱っこできますよー」若くて可愛い店員さんがニコニコと夫に話しかけてきたのです。

 

ブログは姿が見えないからこそ書けるのですが、私は比較的若く見られることが多く、例えば夫と私、そして母親の3人でいると、夫と母親が夫婦だと勘違いされ・・・ん?これって私が若く見えるうんぬんじゃなく、夫が老けているということ?・・・まあ誰にも見えないからどう書いたってバレないのだ。

 

我が家にはこどもがいない。 なのに「お父さん」と呼ばれた夫は内心憤慨、いや、プライドが傷ついたようで、いつまでも「お父さんって言ってた」とシツコイ。「この服どうかなあ〜」と話しかけても「僕はあなたのお父さんではない、と言ってやりたい」だの「お客様、と呼ぶべきなのに教育がなってない」だの、挙句「今時の若者は」と、お父さんの域を超え「おじいちゃん」ぽいことを言い出す始末。

 

(この件がよほどショックだったのか、夫は「おぎやはぎ」のような丸メガネを作り、ヒゲを伸ばし、髪の毛を短くカットし立たせて「若返り(若作り)」を図ったのでした)。

 

そしてそんな事はすっかり忘れた頃のこと。とあるホームセンターのキャンペーン会場で「お父さんお母さん、ちょっと見ていきませんか?」と話しかけられたのです!

 

それって・・・私に言ってるよね?

 

お母さん!?

わ、私はお前を生んだ記憶はないっ(怒)!

 

あの時夫を笑いものにした私も、いざ自分が同じ立場になってみると想像以上にショックを受けたのです。自分では「まあまあ」若いつもりでも、そうじゃないんだ。私も人から見ると「お母さん」なんだ・・ああなんかめっちゃショック!

 

まあね、なんなら孫がいても驚かれる年ではないのだし、ぜんぜん間違ってないのです。
「お父さんお母さん」と呼びかけるのは、親しみを持ってもらうためだろうしね。
うん、わかってはいるんだよ。
でもね、我々夫婦には子供がいない。私たちのような人間は、見た目はしっかり歳を取っていても、心がついていかないものなのです。

 

そして先週の土曜日。私と夫は近所のトンカツ屋にいました。
その店のトンカツはカリッとジューシーで、かかっている味噌の甘辛さも絶妙、とっても人気のある店なのです。

 

「すみません、お姉さん!お姉さん!お茶ください!」

 

後ろのテーブルの男性が店員さんを呼び止める声が店に響きました。
この店の店員さんはみんな、明らかに70は超えている元気なおばちゃんばかり。
でも、呼び止められた私の母親くらいの歳の「お姉さん」は、しごく当たり前のように振り返り、お茶を注ぎにいったのです。

 

夫と私は思わず目を合わせました。

 

「うん!やっぱコレが正解だよね!」

 

我々は何となく満足し、評判の味噌カツを「更に美味しく」いただいたのでありました。

 

f:id:nojapannolife:20140715172316j:plain

果物屋さんのにゃんこ